一 はじめに
「講義と研究と100円コーヒー」へようこそ。
さて、今回は、平成29年度宅建試験第6問を素材として、基礎知識の確認や判例の分析をしてみたいと思います。この問題は、相続がテーマになっています。閲覧可能であれば「法律学講義録」のなかの「相続と法講義録」もあわせてご覧ください。
二 平成29年宅建試験第6問
まずは、試験問題をみてみましょう。
Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 ①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。
2 Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。
3 遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。
4 Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。
相続のところは、まったく勉強しないで試験に臨む人もいるかもしれませんね。あるいは過去問をひととおり解いて対策する人もいるかもしれません。
けれども、相続というライフイベントは多くの人が経験するものです。自分の親兄弟などがお亡くなりになった場面ですから、「勉強しておいてよかった!」とはいえません。ただ、相続のさいの精神的負担は、知識が無い場合よりも少なくなると思います。
試験との関係では、基本事項をおさえておけば、問題自体は、それほど難しくないようです。勉強しておけば確実に得点可能です。
各選択肢をみると、選択肢1は相続分、選択肢2は遺産分割の当事者、選択肢3は遺産分割の対象、選択肢4は限定承認の申述について、それぞれ条文・判例等の知識が問われています。
さて、多くの過去問集では、ここから選択肢の順に「正しい」とか「誤り」として解説をつけていくものが多いと思います。
しかし、このブログは、べつに資格試験対策を掲げていませんし、試験問題の解説をするためのものでもありません。問題等を素材として、講義ノートの形式にアレンジし解説していこうと考えています。
まさに、ムダに掘り下げることが目的なのです。
三 「ケース」のかたちにアレンジ
そこで、上記の問題を選択肢ごとに「ケース」のかたちにアレンジし、検討していきたいと思います。
【ケース1】〔選択肢1〕
Aが死亡し、BCの二人が相続人となった。ここで、①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とで、Bの法定相続分に違いはあるか?
【ケース2】〔選択肢2〕
Aが死亡し、BCの二人が相続人となった。ところがBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡した。Bに配偶者Dと子Eがいる場合、Aの相続について遺産分割協議の当事者は誰か?
【ケース3】〔選択肢3〕
Aが死亡し、BCの二人が相続人となった。BCの遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じ、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得した。遺産分割協議で当該不動産をBが取得した場合、Cは既に取得した賃料債権を清算する必要はあるか?
【ケース4】〔選択肢4〕
Aが死亡し、BCの二人が相続人となった。Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述した。この場合、Cも限定承認をしたものとみなされるか?
次回は【ケース1】について考えてみましょう。